リニアモーター(tubular linear motor)作ってみた

 どうもこんにちは。さばねっこです。

 今回はなんとなく作ってみたリニアモーターが割といい感じになってしまったのでその紹介です。

 今回はtubular linear motorと呼ばれる、パイプの中に界磁用磁石を直列に並べまくり、その筒の外に電機子を置くタイプのものを作ってみました。

 国内であれば日本パルスモーターさんなどが同様の仕組みのものを製造・販売しているようですね。

www.pulsemotor.com

 

 まあ言ってしまえばコイルガンのプロジェクタイルが永久磁石に変わりコイル側が移動するようになっただけのものなので、その界隈の人にとってはなじみ深いのではないでしょうか。

 この構造のメリットとしては、

  • 単純な構造で堅牢
  • ボールねじ等従来の直動機構からの置き換えが容易
  • なんならシャフト自体をガイドにできる
  • コイルが巻きやすいので自作勢にやさしい
  • 磁石の固定をそこまで考えなくてよいので自作勢にやさしい

といった点が挙げられるかと思います。あとどうやら位置精度が出しやすいらしい。知らんけど。

 デメリットとしては、

  • シャフト外周360度にコイルがあるため長いストロークのものを作りづらい
    • 制作可能な長さはシャフトの強度に依存
  • スキュー等の工夫が困難なためコアードタイプだとコギングトルク?推力?が大きそう

といったところでしょうか。コギングに関してはコアレス化などで対応できるでしょうが、長ストロークのものを作れないのは本質的にどうしようもないですね。

 

 まあメリットデメリットなんでどうでもいいので、とりあえず作ってみましょう。

 

 とりあえず磁石とパイプを購入します。

 磁石はアマゾンで適当に買いました。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07477VJXB/

 僕はよくこのOMO Magneticsというブランドのものを買っています。安いですし寸法精度もちゃんと出てるのでおすすめです。

 パイプもアマゾンで買いました。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0BFLTPZ84/

 今回は非磁性体であり、アルミと比較して強度もあり電気抵抗率も大きい真鍮を採用しました。まあ電気抵抗率に関しては合金の種類に依ると思うのでおまけ程度ですけどね。というかSUS304あたりにすればよかった感は正直あります。

 

 また、材料が届くまでの待ち時間で適当にFEMMを使ってシミュレーションとかして遊んでみました。

なんかそれっぽい図

 今回は円柱対象形なのでシミュレーションも楽ですね。なんやかんやよさげな結果が出て満足。
 

 そんなこんなしてる間に材料が届いたので、いい感じにコイルとプリンタパーツを作って組み立てて…

 

 あっさり動いちゃった。

 この時は適当に3相正弦波を入れてるだけなので脱調しまくりですが、それでも一発で動くと思ってなかったのでちょっとびっくりしました。

 

 というわけでここから改良していきます。

 まず現在の位置がわからないと制御のやりようがないのでエンコーダーを取り付けます。

 本当はリニアエンコーダーを使いたかったけど手元にないし高いので、ワイヤーを使た直動->回転変換を通して磁気エンコーダー(AS5600)で測定することにしました。

 

 てきとうに設計して

エンコーダーユニット

 

プリンタで印刷して組み立て。

 これで無事に現在位置を測定できるようになりました。

 

  あとは適当に進角制御するコードを書いて…

 

 無事位置制御できるようになりました。

 

 ここからなんやかんや機械側を改良して…

  こんな感じになりました。デュアルシャフト化したので結構安定して動いてくれます。将来的には奥側のシャフトにも駆動ユニットを付ける予定。

 ちなみに、上の動作をさせているときはピークで150[m/s^2]で出てるっぽいです。推力換算すると14Nぐらいですかね(摩擦なしとして)。思ってたよりつよそう。

 でもNPMさんの12mm径シャフトの製品はピーク36Nとか出せるらしいのでまだまだですね。もっとつよくならねば……。

 

 というわけで、とりあえずは動くものができたので満足です。ここからはコイル改良とかストローク延長とかデュアル推進化とかドライバ制作とかヨーク制作とか、いろいろやってみたいことがあるのでぼちぼち遊んでいこうと思います。

 それでは~~。